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2015/08/17

4) ブログ二日目 ~御礼をひとこと~

 いきなり昔話から始めてしまいました。
 このブログのテーマはすでに述べたように「まちづくり」或いは「大津市政」ですが、書き進めていくと基底にある「公(おおやけ)」の概念があちこちに顔を出し、避けて通るわけにいかない気がしています。もちろんこれを正面から論じることは私の手に余りますので皆さんのご意見を頂きつつボツボツ考えていきたいと思います。というわけで、冒頭に私が公務サービスとは何かを自問する契機となったささやかなエピソードをご紹介しました。
 手探りで始めた大津通信ですが、有難いことに多くの方々のお目に留まったようです。コメントも頂きました。どうも有難うございます。しっかり心にとどめて今後の記述をしていきます。
 さて、Googleで大津通信を検索すると「おおつうしん」というページが一番にヒットします。大津のまちに関する情報が満載され、作り手の視野の広さや技量の高さが明らかに感じとれる通信だと思います。私のページは遥か下にあり、しかも既に閉鎖済みの「試作ページ」に行きあたります。このブログをご紹介いただく際には、大津通信のURL(http://otsu-yoimachi.blogspot.jp)をお伝えくださるようお願いいたします。
 



3)自己紹介をかねたエピソードその2 ~プレゼントには屈しました~

 色々と記憶がよみがえってきました。回顧録ではありませんのでこの辺で止めますが、あとひとつ、ケースワーカーである私が生活保護受給者から物品の贈与を受けた(!)一件を記します。 
 これもAさんとします。炭鉱の閉山で無職となった夫と共に福岡に住んでいたAさんは、夫に先立たれ、大津に暮らす子息の家に身を寄せました。しかし子息一家の生活も楽ではないため、世帯分離によりAさんだけに保護を適用しました。初動調査で聞くAさんの人生は苦難の連続でしたが、あくまで語り口は柔和であったことを覚えています。  保護開始から2、3か月たった頃だったでしょうか、突然Aさんが市役所にやってきました。  面接室で向かい合うとAさんは、ようやく大津での生活に慣れてきたと日々の暮らしの様子をあれこれ語るのです。私もよかったですねと相槌を打っていたのですが用件がなかなか始まりません。やがて帰るそぶりさえ見せるので、今日はどうされました?と尋ねると、Aさんはようやく意を決したように手提げ袋から卵一パックを取り出してそっと机の上に置きました。「いつもお世話になってばかりで、、、、」。
  たいてい鈍い私にもその意味は分かりましたが、あえて「お買い物ですか」と聞いたのです。
 するとAさんは、本当につまらないものだが日ごろのお礼の気持ちとして受け取ってほしいと熱心に繰り返しました。 職務に付随して、しかも困っている人から物をもらうわけにいきません。私も負けじと熱心に断りの言葉を並べ始めたのですが、ふと考えが変わりました。そしてお礼を言って有難くタマゴを頂いたのです。Aさんはにっこり笑って帰っていきました。
  私の対応は公務員としてマルかバツか、人間としてマルかバツか、そもそも「公務員として」と「人間として」という二つの尺度が併存し得るのか、わずか卵一パックの贈与ですが人によって評価は分かれるでしょう。 また、小さな物であっても貰うという行為には心理的負担が伴いますから、前回の話(強者の立場と弱者の立場)に通じる部分もあると思います。しかしここでは、そうした点に触れません。
  私は、その時、相手が差し出したものを受け取ることが自然であり礼儀にかなうことだと感じたのです。家でおいしく卵を頂き、しばらくたった日曜日、Aさん宅に立ち寄りささやかなお返しを渡しました。 お返しの品を買った西武百貨店は開業して間もないころで大賑わい、今は昔の話です。

                            庭の住人です