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2015/11/14

51) 越市長の改革とは?

 11月12日の定例会見で越市長が出馬表明をされたとの報道がありました。越市長は「改革を進めて後戻りさせぬ」とおっしゃいます。では「越改革の行く先」は一体どんな世界なのでしょう。

 明治以降ひたすら改革を叫んで前進してきたわが国ですが、21世紀初頭を過ぎたいま社会は質的に大きく変化しています。人口はついに減少局面に入り、少子高齢化にも拍車がかかっています。家族や地域のありようも大きく変わりました。そして阪神、東日本につづく大規模地震の到来を明確に予期しつつ私たちは暮らしています。地球規模での環境問題もベースにあります。
 もちろん人々の価値観が変わらない筈がなく、社会を駆動させる基本ソフト(のようなもの)も変化しつつある気がします。こうした中での越市長の改革です。

 何のための、誰のための改革か? さしあたって誰が痛みを感じるのか? 長期的にはどうか?
 そもそも人口減少・少子高齢・災害想定社会における改革の理念は如何にあるべきか?

 越市長はこれらについて、自前の言葉でしっかりと市民に語りかける責務があります。
 私とて正解を知りませんが、それは越市長の目ざす新自由主義的な改革ではありません。
 数値評価と相いれない要素を含まざるを得ない気がしますし、少なくとも越市長お得意の民間導入、経費節減、制度改正といったたぐいの話ではないと思います。もし改革を唱えてさえいれば民意が得られるとお考えであれば、それは大きな間違いです。

 一方、市民も、越市長のこうした改革の理念や、これまで十分に明らかにされていないまちづくりのビジョン等を知りたいと思っておいででしょうし、「パワハラ疑惑」や「公文書消滅事象」にかかる市民への説明責任を果たされることを望む人々は多いはずです。1期の総括の上に2期の展望があります。
 通常の日程では11月30日の議会開会時に越市長は出馬の報告をされることとなりそうです。
 越市長が2期を目ざすにあたり、これら重要事項の説明責任をいかに果たされるか大いに注目したいと考えます。

 最後に越市長の「改革の先生」とも言うべき樋渡啓祐氏が、本年1月、佐賀県知事選で落選した際の越市長のコメントにふれます。ここから越市長の改革に対するイメージの一端を知ることが出来ます。
 樋渡氏は武雄市長として市民病院の民営化、図書館の指定管理導入(ツタヤ)、小学校へのタブレット導入による反転教育などを進めた人物ですが、越市長はこれらについて次のように述べておられます。以下は発言要旨。
「樋渡氏は病院、図書館、タブレットによる反転授業などの改革をされ、私もすごく多くのことを教えて頂いた。このように地方から民間手法を使ってより新しく発展的なことをやって多くの改革を進めることが本当の地方創生である。他にこのような方がいないので落選は残念である。日本の風土として出る杭は打たれる。樋渡氏も軋轢があったと思うが、このような人を評価する社会にならないと日本もこの先非常に暗い」(このコメントは「大津の図書館で起こったこと」の投稿者も紹介しておられます。関係資料7)

 まさに新自由主義改革礼賛だと私は感じますが、このような越市長が昨秋の議会質問まで図書館の民間導入を考えていなかったという説明は、これまたまさに、狐につままれた思いです。
 これでは昨秋の議会質問が「民意を読み切れていなかった愚問」になりかねません。見識ある議員もお困りのことでしょう。市長発言の影響は随所に及びます。
 それはさておき、越市長は周囲との軋轢を「出る杭は打たれる日本の風土で真の改革を進めようとする改革者の受難」と認識しておられるような気がします。
 そうであるならば、越改革がよくなる契機はあらかじめ失われていると私は思っています。

 額にしわを寄せてこれを記述していたら、たった今、私の元の若い仕事仲間が家族連れで立ち寄ってくれました。小学生のお嬢さんの作ったラスクを玄関先に置いて風のごとく帰って行きました。
 さっそく頂いたところ舌に甘味、心に滋味でした。感謝感謝です。
 多数の仲間を思うにつけ人間が人間らしく働ける職場が回復されることを願います。