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2015/12/12

64) 大津のまちづくりの課題(概観)

 このブログで越直美市長の市政運営を論じているのは「本当に大津の人とまちの幸いにつながるのか?」という私の問題意識によっており、それが大きな問題を孕んでいることを事例をあげて指摘してきました。しかし、いずこの市長も「有期業務」。退陣後も依然としてまちは残るわけですから、ここで角度をかえて大津のまちづくりの課題を眺めたいと思います。

 おりから国が「まち・ひと・しごと創生」なるものを唱え、地方も頑張れと号令をかけています。まず国は、自らの人口政策、都市政策を深く懺悔してから地方に物を言うべきだと(今や気楽に)指摘しますが、自治体としては当然こうした動きをふまえておく必要があります。
 ブログでまちづくりを考え始めた成り行きでこのようなテーマを扱いますが、私は実務者でしかも元職です。専門家の論考レベルに及びようがないことをお断りし、感想めいたことを数回に分けて短く記述しようと思います。
 まずは地域課題の概観、続いて個別課題をとりあげ、最後に「まとめ」を書けたら考えます。皆さんの補足コメントをお願い申し上げます。
 
 地域課題の概観
<志賀・北部地域>
 全市的な防災政策が重要ですが、とくに北部では琵琶湖西岸断層帯地震のリスクマネジメントを念頭においたまちづくりが求められます。市全体のコンパクトシティ化を進める中で葛川や志賀地域の過疎対策も重要だと考えます。 
 葛川は人口約260人、高齢化率も高くコミュニティの維持が課題となっており、市民センターのあり方とも深く関わってきます。
 志賀地域ではデマンドタクシーの試行運転や近江舞子駅のバリアフリー化など一定の施策効果がみられます。
 堅田駅西口の開発が一段落する中、近接する「湖西台」が今後どうなるのか気にかかるところです。北部クリーンセンターの建て替えが計画されています。
 市民意識調査(27年1月)の「暮らしの環境の評価」では志賀、北部地域とも「自然の豊かさ」を第一にあげる住民が多く、また志賀地域では「鉄道やバス等の公共交通が不便」「買い物が不便」と考える人の割合が多いという結果がでています。

<中部地域>
 市庁舎の整備、競輪場の跡地問題は全市的な課題でもあります。
 また玄関口といえる大津駅前から浜大津の中心市街地の活性化が年来の懸案であり、市は計画的な事業推進に努めてきました。その結果、中心部の人口微増など「ドーナツの真ん中」が埋まる兆しが見えるのは何よりだと思います。
 大津駅横手の土地区画整理事業は進んでいますが、大津駅周辺、県庁周辺の整備に関してJRや県との連携が不足しているのはトップの姿勢によるところが大きいと思います。
 活性化計画にもとづき設置された協議会やまちづくり会社との連携不足も懸念されます。
 これらとも関係して、歴史的資産の宝庫である中部の魅力を観光やまちづくりに十分に生かしきれていません。疏水観光もいかに大津が果実を得るかがポイントとなります。
 環境美化センターの建て替えが計画されています。
 市民意識調査では「京都・大阪に近く便利である」ことを第一にあげる住民が多いという結果です。

<南部・東部地域>
 東部学校給食調理場の老朽化による移転新築は全市的な課題です。候補地での事業実施が難しいことから、越市長は別の場所で中学校給食を含む巨大給食センターを建設する方針を突然に表明されました。
 瀬田地域で子どもの数が急増しており、保育施設の配置の偏りと不足が懸念されます。
 老朽化による石山団地の建て替えは計画に位置づけられていたものの進んでいません。
 国による大戸川ダム建設計画については、国県の動向(治水計画、検証、河道改修など)に加え経費負担をする京都大阪の動向にも注目する必要があります。
 第2名神スマートインター(サービスエリアにETC専用の出入口をつけた簡単IC。滋賀では蒲生と湖東三山が運用)の計画があり、関連市道(2028号)の用地買収が遅れています。本体工事はまだ先のようですが、将来の地域の活性化のため事業推進が期待されます。
 市民意識調査では、南部地域で「自然の豊かさ」、東部地域で「自然災害や火災が少なく安全である」を第一にあげる住民が多いという結果です。