「大津市市民センターの在り方検討について」という資料をベースに記述しますが、その骨組みは次のとおりです。
まず、市民センターの機能を支所、公民館、地域自治、防災の4つに大別しています。
次に「支所機能」を見直す要因として「コンビニなど民間の窓口を利用する環境が整ってきたこと」や「市民センター間の業務量やコストの不均衡」が示されています。
そしてこれらをもとにした庁内委員会および自治連分科会での意見が紹介され、それをどう受け止めたかの見解がないまま、今年度内に「市民センター機能の将来像案」を策定するスケジュールが示されています。
これらの行間からうかがえるのは、支所間のコストの均一化と全体のコスト削減という越市長のそろばん勘定だけです。
市民センターの4つの機能のうち「地域自治」と「防災」についてはどのように検討されたのかまったく不明です。これらの検討を行わず住民票の発行枚数だけ数えたり、支所間のコストの不均衡を論ずることは無意味です。
これで議論せよと言われた庁内委員会も自治連分科会も気の毒であり、出された意見は施設の管理運営や執務スペースに関することなどハコモノをどうするかという視点に引きずられていたように思われます。
越市長の改革は常に階段の2段目からスタートします。
1段目で行うべき理念・目的の確認と熟議がなく、いきなり「いかに手っ取り早く経費節減をアピールするか」という方法論から始まります。市民センター、図書館、幼稚園すべて同じです。
今回も越市長にお尋ねしますが、
①人口減少・高齢社会を展望して、②コンパクトシティを目ざすうえで、③公助に比べて共助の比重がます中で、④「地域包括ケア」や「地域の子育て力」や「地域防災」が喫緊の課題となっている今日において、大津市の社会的ストックというべき「小学校区」という概ね徒歩圏の地域ユニットの潜在力をどのように評価しておられるのか、そしてその評価を踏まえて地域をどのように経営していくお考えなのか?
こうした地域経営の理念があって初めて階段の1段目が踏み固められるのです。
在り方検討において問題視されている市民センター間のコストや事務量の不均衡(それらを小さくする努力は必要であるにしても)や、さらには統廃合そのものにしても、この理念なしに評価することはナンセンスです。
この理念を持たない越市長は、その代替物として「さしあたっての経費削減」を唯一のモノサシに行革を進めようとされる、だから2段目スタートと申し上げるのです。
これでは担当部長以下の職員がいくら優秀であっても良い検討書は作れません。それを持たされ地域に出かけて説明を行う彼らの胸中はさぞ苦しいであろうと思います。ここにも越市長が職員を消耗品のようにみなす姿勢があらわれていると私は思います。そうした職員の努力に支えられていることをどれほど深く越市長が理解されているでしょうか。
あと3か月で市民センター機能の将来像(案)が策定されます。実務的には大枠は固まっているでしょう。1期目の終わりの時期であるからこそ、越市長は重要な施策について、その方向性だけでも説明する努力を怠ってはならないと思います。
市民センターしかり、庁舎整備も中心市街地活性化もケアセンターも、この4年間の宿題提出として、結論は無理にしても方向性や考え方を明確に市民に説明すべきであると考えるものです。
説明責任を果たされていない事項は他にもありますが越市長はご記憶のことと思いますので繰り返しません。