大津市政9~主要計画やマニフェストとの整合性~

 越市政の様々な側面を見てきましたが、ここでは市の主要な方針や市長ご自身のマニフェストから見た問題点を考えます。
 大津市のまちづくりの基本的な計画は市議会の議決を受けた「大津市基本構想」とそれに基づく「総合計画」であり、いずれも市民、事業者、有識者等からなる策定委員会の議論を経て策定されました。その内容を市民があまりご存知でないのは残念ながら行政計画にありがちのことですが、市政を預かる者にとってはこれらが第一に拠るべき規範です。
 さて、少子高齢・人口減少社会を展望して大津市基本構想が示すまちづくりの理念は、市民、事業者、行政という3つのセクターがそれぞれの役割を理解し、連携、協力するという「三者協働」です。三者のうち「事業者」は、総体として企業市民であり、部分を見ると勤労者たる市民により構成されています。また「行政」が市民サービスを旨とするのは言うまでないことから、三者協働の実質的な主役はもちろん「市民」です。
 私の知る限り越市長はこの理念にほとんど関心を示されませんでしたが、これは既に指摘したとおり、市民(市民団体)の担っている多様かつ重要な活動に対する無関心、無感動と根っこが同じだと思います(この指摘に疑問を感じられる向きは、各種市民団体の率直な声を聞かれるとよろしいかと考えます)。
 一例をあげると公民館のあり方の見直し(運営委託、縮小、一部廃止などの「合理化」)も、三者協働の理念に対する越市長の認識不足を背景とした経費節減策ともいえるというのが私の意見です(公民館については教育の項目の中で再度ふれます)。
 今、まちづくりの理念に関して指摘しましたが、総合計画に基づく第3期実行計画に照らして、また越市長のマニフェストから見ても、高齢者福祉の取組みが停滞しています。
 既に指摘した通り、越市長は、高齢者福祉に対する関心が低く、若い世代に注ぐ眼差しと比較すると冷淡とさえ感じられることがあります。越市長は、祖母の家族介護の体験が政治家を志した原点であると語っておられるのにこれは不思議な気がします。
 ひょっとすると越市長は、多数の高齢者(年金受給世代)を少数の自分たちが支えていると考える若者(将来の年金が当てにならないと考える世代)の不満の代弁者を自認しておられるのではないか?と勘ぐりたくなるほどです。
 年金、介護、医療とも構造的な問題を抱えるなか世代間扶養にきしみが生じていますし、高度成長期に育った私自身も、今の若い世代(自分の子ども世代)は気の毒だなあと感じることがあるのは事実です。しかし言うまでもなく赤ちゃんから高齢者までが市民です。

 このような越市長は、高齢者が頼みの綱とする国民健康保険の保険料大幅値上げをためらわれることなく、大切な在宅介護支援策である「紙おむつ支給事業」のごく僅かの拡充にも理解を示されませんでした。
 平成27年度の当初予算では「高齢者が輝くプラチナ社会へ」と銘うって、介護人材の確保に対する助成制度の創設(2,000千円)と元気な高齢者の就労意欲を活用した地域における子ども・子育て支援への参加促進(2,539千円)を強調されていますが、老人医療費助成事業費の前年度からの落ち込みは、はり・きゅう・マッサージ施術費助成事業について平成27年4月より助成対象を月2回から月1回に見直したことによります。老人クラブ活動助成事業費の前年度からの減額も老人クラブ連合会と単位老人クラブの補助基準額の引き下げによります。
 私自身、かつて担当部長として高齢市民の扶助費が増加する中、施策の見直し(スクラップアンドビルド)に頭を悩ませたことがあり、これらを単体で取り上げ適不適を論ずることは難しいと思います。しかし、いじめ対策、待機児童対策、英語教育など越市長の看板施策の推進(時には担当部局の要求を大きく上回る予算査定)とは対照的に、市長マニフェストの大きな柱の一つである「高齢者が健やかに生活できる環境づくり」はむしろ後退していると言わざるを得ません。(⇒資料3のうち「老人福祉費の推移」参照) 
 さすがに越市長もこれを意識してか最近は高齢者福祉の進展のPRするかに腐心しておられると聞きますが、見かけより中身と心が大切だと思います。

 その他、行革プランとの整合性は前記のとおりであり、中期財政フレームから見れば平成27年度当初予算はこれといった問題点は見当たりません。
 しかし10年計画の最終年度を迎えた大津市・志賀町合併建設計画の推進は、本当にこの程度でいいのか疑問が残るところです。
 旧志賀町住民からは度々、合併後良くなったことは何もない、何もしてもらっていないという言葉を聞きます。その中には主体性に欠ける発想も見え隠れして言葉のままに受け取れない面もありますが、確かに合併後に旧志賀町で目に見えて変わったこととしては、「都市計画道路近江舞子線」、「道の駅妹子の郷」、「JR和邇駅前広場整備」くらいです。
 合併特例債の発行可能額は200億円あるのにまだ70億円余りしか発行しておらず、発行期限はあと5年です(庁舎整備の項目でふれたとおり)。
 なにも目一杯使うべきだとは主張しませんが、合併後の「一体化」という大切な目標を達成するための有利な財源です。建設計画によるまちづくりの進展に期待を寄せ合併という大きな転機を超えた旧志賀町住民のニーズに対して、ていねいに向き合う姿勢が大切だと考えます。

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