平成26年6月18日
大津市長 越 直美 様
茂 呂 治
大津市政に関する意見具申
平素は大津市政の推進にご尽力いただき敬意を表します。
私は、現在大津市民ではありませんが大津のまちを愛し市勢の発展を願う者の一人として、また、
元大津市職員として、下記の通り市長に対し市政運営に関する意見を申し上げます。
この意見書は提言1と提言2からなります。
提言1は、私が副市長であった2年間、部局長をはじめ多数の職員から市政運営等に関する真摯かつ率直な意見を聴取したことの集大成であり、同時に、職務を通じて有するに至った私自身の意見でもあります(提言2の一部と内容が重複しています)。
提言2は、私が本年4月10日に行った各部局長への市政運営等に関する意見照会の結果です。
これは照会文書からも明らかなように、部局長が各自の意見を全員で共有することにより市民サービスの向上を目ざすことを趣旨としており、これからの市政運営等に関する協議の素材ともなる重要な資料です。
そこで、部局長意見の照会と取りまとめを行い文責を有している私として、市長に対しこれを提出し庁内(部長会など)での共有化を図っていただこうとするものです。
この部局長意見は、すでに去る5月30日、私から市長に提出済みですが、職員の真摯な声に対して市長室で恩恵的に耳を傾けられるだけでは不十分であると考え、改めて提出させていただく意味もあります。
私は去る5月31日、庁内ネットワークを利用して部局長等にこの資料(すなわち提言2)を送信し所期の目的のとおり共有化を図ろうとしたのですが、6月2日、印刷した資料の回収が指示され、同時に送信メールがネットワーク上から削除されたと知りました。
誤解のないように申しますが、退職した職員が在職中の話を蒸し返すのではありません。
冒頭に記したとおり、今後の市政運営に関して意見を申し上げることが一つ、在職中に果たし得なかった最後の重要な仕事を完結させることが一つ、これだけであります。
なお、提言1と提言2の一部とは、結果的に内容が重複していますが趣旨が異なるのであえてそのまま記しています。提言2は当然ながら本年4月現在の内容です。
ご多用のところ恐縮ですが、これらの提言を市政運営に生かしていただきますようお願い申しあげます。
記
<提言1>
○市政の安定的な推進について
・市長、副市長が市政運営についての基本的な方針を共有し、部局長がこれをしっかりと受け止め、部局長の管理の下で関係所属が計画的に事業を推進していくという形で職員が仕事に邁進できる安定した市政運営を切に希望する。
・副市長をもっと生かしてはどうかと感じることが多い。市長が最高責任者で最高権力者であるのは自明のことであるが側近をいかに活用するかが大切ではないか。そのために副市長を任命されたのに現状ではもったいない気がする。
○組織の意思決定について
・市政の重要案件については最高意思決定機関である二役会議で決定することが庁議規定で定めら
れているが、ほとんど開催されておらず、課題によっては意思決定過程が不明確になったり遅延
することがある。二役会議を適切に開催する必要がある。
・本市は、行政課題の方向性を協議していく中で審議会という付属機関を活用し、外部意見や専門
的意見を聴取してきた。ところが最近の事業ヒアリングにおいては、市の方針決定は内部で決めればよいことで、必要に応じ専門家によるアドバイザー会議を適宜開催して意見を貰えばよいという見解が示される(公共施設のあり方、中学校給食のあり方、教育施設などの適正規模のあり方等々)
・市で方針を決めても次には対象地域にそれをもって説明に出向くわけであり、丁寧に手順を踏まないと、地元や対象者にとっては、いつ誰がそんなことを決めたのか、なぜ勝手に決めたのかという反発ばかりが先にたってしまう。すべてを付属機関で審議をというわけではないが、大きな施策、方針転換については慎重に審議すべきであり、拙速な判断を避けるためにも付属機関の設置については原課意見にも耳を傾けるべきだと思う
・教育委員会制度改革の要点は、首長権限の強化、教育内容への関与の強化だと考えるが、現時点ですでに本市はこれを先取りするような形になっており、首長が教育委員会の教育内容に過剰な関与を行っていると指摘されかねない状況である。理念や理想は別として現行法の趣旨を逸脱することのないような行政運営が重要である。
・教育委員と市長との協議は持たれているが、あるテーマについて議題としたこと、意見交換したこと、認識を共有したこと、合意したこと、方針決定されたことなどが個別に丁寧に仕分けをされずに、すべて合意済みの協議結果として情報発信されてしまうケースがある。
教育委員は、課題認識を市長と共有した場合でも、教育に関することは教育委員会が責任を持って審議し結論を出していくという姿勢で常々臨んでいる。
○指示、伝達の方法について
・市長から部局長(時には課長以下の職員)に対して、直接に特命という形で指示等をされる状況
が見受けられる。このことは迅速化、効率化の側面はあるものの、事業の決定や指示等に当たっ
ては、可能な限り二役で議論をした上で副市長から担当部局長(さらには課長)に指示する必要がある。逆の流れも含め、指示、報告、連絡、相談の流れを適切に行う必要がある。
・部局長どころか課長も知らないうちに、部下職員が市長室に呼ばれ、じきじきに事細かな指示を受ける状態が一般化している。市長がご自分の思いをダイレクトにすばやく伝えたいという意図は理解できるが、それが矢継ぎ早に繰り返されると組織にゆがみが出る。部下は上司に報告したり相談する暇もなく、上司の知らないうちに市長特命の事態が進んでしまい、部下は上司に対して後ろめたい気持ちになるし、市長の指示を実行に移すにあたって周囲の応援も助言も受けにくい。更に悪いことは、こうした指示が職務の押し付けになったりパワーハラスメントになりかねない。組織をもっとうまく使っていただきたい。
○職員の意欲の確保について
・職員は日ごろから真面目に仕事に向き合い取り組んでいると考えており、事業の推進や方針の転
換にあたっては、関係部局や所管課における事務事業のこれまでの経過を踏まえて議論を行い、部局長を中心に職員の納得の上で推進することが、職員の意欲を確保し、施策推進につながるものと考える。具体的な事業の推進にあたり実務的なことは所管部長に委ねて進める必要がある。
・人事異動、予算編成、残業手当縮減、補助金カットなど様々な事態を経験する中で、すべてトップの責任とは言わないがどれもマイナスの面を含んでおり、職員のモチベーションが下がっている。これを改善するのが部長の役割だが、部長の力だけではどうしようもないことが多く、部長としても限界を感じている。各部長は必死に踏みとどまっていると思うが、喜びをもって仕事に臨めないという声を聞く。
○行財政改革の推進について
・将来世代へのツケを減らし持続可能なまちづくりを進める上で行財政改革の推進は重要であり、公共施設やサービスの見直しを全庁的な視点で取り組んでいることは十分に理解している。
・しかし、大津市の特性、これまでの経過を踏まえると共に、地元や関係団体などの声を聞いて実態を踏まえ、十分な情報提供と説明責任を果たしながら進める必要がある。強引な改革はかえって目的達成の遠回りになる。
・本市はこれまでも他都市に先んじて十分に人員を削減し続けてきた。財政危機といいながらも毎年黒字決算が続いている状況の中で、人員をこれ以上削減し支出を抑制するだけが改革なのか疑問である。
・トップが力点を置かれる分野への重点配分は理解できるが、そのために他を削ってのしわ寄せではなく、人員増や予算増など前向きな改革を出来る状況に本市はあるのではないか。
・市長の民間活用の方向性はよく理解するし重要なことであるが、一つ一つの施設や事業の実態などを丁寧に診断して、社会的影響も考慮しながら検討、決定、推進を図るべきである。
こうした見極めもなく特定の施設について思いつきのように「民間譲渡」等という言葉を軽々しく外に向けて発信されないようにお願いしたい。
・公民館、文化会館、幼稚園、保育園、病院、ケアセンターなど各種施設のあり方が見直しの対象となっておりそのこと自体には問題がないが、すべて財政面だけからの判断であってはならない。
そもそも基本的に自治体の仕事は「いかに儲けるか」、ではなく「いかに使うか」である。
今の時代にあって儲けることも重視すべきだが税の再配分が基本であり、一つの事業の収支だけにとらわれたり、その施設のサービスを受けている市民の実態を軽視するようなことがあってはならない。
・仮に市民病院において「民間譲渡」の言葉が独り歩きをすれば、大学からの医師派遣に大きな影響がおき医療技術者に動揺が広がれば、慎重検討の結果として民間譲渡しかなかったとしても病院経営が成り立たなくなる惧れがある。またどのような形態が相応しいかはまさに議論を始めたところであり、市民生活に大きなかかわりがある医療について財政面だけからの評価による拙速な判断は避けるべきである
○職員定数の削減について
・職員定数については時間外勤務の縮減とあわせ、事務事業の見直し、定型的、専門的業務の民間委託の推進とあわせて総合的に検討すべきものであり、職員定数ありきで臨むべきでない
・特に26年度から再任用制度が始まり32名を雇用したことが定数に反映されている。こうした新たな状況も含めて職員定数のあり方そのものを検討する必要がある
・市長とっての市民に分かりやすい成果として職員削減や事業費削減という行革目標がある。実態を知らない市民の方に実態を十分に理解していただく努力をせず、単に何人減らした、何百万減らしたという数字だけを訴えていくことが本当に大津市のためになるのか十分に考えていただきたい。
○時間外勤務手当の縮減について
・今回の縮減手法は、これまで取り組んできた「仕事ダイエット運動」の本質は職員の健康管理より支出削減対策であったと職員に周知するようなものである。姑息な残業代稼ぎをしている職員がいるとしてもごく一部であり、職員の適切な業務対応には相応に応えてやりたい
・縮減は重要だが精神論でなく、事務事業の見直し、定型的、専門的業務の外部委託など業務量の削減、アウトソーシングとセットで裏づけをもって計画的に推進すべきである
・当初予算の枠内で管理し災害対応以外の例外を認めないとの通達は、職員の努力や業務実態に関わらず経費で管理するという誤ったメッセージを発信しモラルハザードを起しかねない懸念がある
・業務量が増える中で進めてきた職員削減や、個々の職員の努力を踏まえつつ、仕事についてのモチベーションを確保しながら、合理的に時間外削減の取組を進めるべきである
・特に福祉、介護等の分野は対象者が増加傾向にある中で制度改正や新たな計画策定が続き、慢性的な人手不足である。窓口や電話対応は丁寧さを要求され、早く済ませようと事務的に事を運ぶとトラブルになって労力が増すことも再三である。結果的に予算額を超える場合はサービス残業による労働基準法違反か管理職による対応しかない。
・市民要望の多様化、複雑化、職務内容の増大に比して職員数は削減の方向にあることにより、時間外勤務の増加が避けがたい傾向にある。殆どの職員は残業することを望んでおらず、組織の一員として市民の期待に応えるため職務を全うするため、職責を果たすためにやむを得ず時間外まで勤務していることを理解していただきたい。
・時間外縮減の取組みは必要であるが、明確な根拠と合意がなく20%の削減をトップの一存で強引に目標とするところに殆どの職員が納得していないと感じるし、このことにより仕事に対する士気や意欲に影響することを懸念する。副市長にもう少し頑張っていただき市長の考えを変えていただけるとよかったが残念である。二役会で議論されなかったならそれにも疑問が残る。
・重要なのは時間外勤務を減らすことで手当てを削ることではないはずである。誰も好き好んで家庭や健康を犠牲にして残業をしているのではない。なぜしなければならないか。各所属で工夫を、だけで済む話ではない。
・消防局職員は3分の2が24時間勤務の二交代制で、隔日勤務者は国民の休日については時間外対応として勤務している現状である。また、防火防災指導、救急救命訓練、地域消防訓練等について市民が直接依頼されて土日祝日関係なく日程調整せざるを得ないが、これらの対応中の災害を想定し、出来る限り非番(時間外)で対応している。これらは「義務的時間外」という性格のものであり、こうした事情について考慮いただきたい。
・「災害対応以外の時間外手当の補正は認めない」というのは、年度当初のスローガンとしては分かるし、我々もそれくらいの気持ちで臨むが、止むを得ない事情により現実的に枠内に収まりきれないことが明らかになった時にどうするのか。ただ働きさせるのか。ここは一つ冷静に9月補正のあたりに、その時の状況も踏まえて庁内で再協議することが適切ではないか。
○補助金の見直しについて
・統一基準を設け全庁的な見直しを行ったことの意義は各部局とも理解しているが、実際に2分の1に削減された軋みが現れ始めている。変革の過程の一時的現象で克服可能なものであるのか、団体の弱体化(まちづくり活動の衰退)につながることにならないかについて、確かな見極めが必要である。
・多くの補助金は、市民の代償を求めない自主的なまちづくり活動を呼び起こし促進する効果があり、市の直接事業と比較して費用対効果が高いことに注目すべきである。単に減らせばよいと言うものではない。
・事業によっては積極的に委託料的補助金に転換すべきである。
・「安全・安心」や青少年育成等を進めていく上で、自主防犯組織、防犯協会、交通安全協会、青少年育成市民会議、文化団体等は重要な協働のパートナーであり、協働による事業推進が不可欠である。過度な補助金カットにより担い手が育たず、担い手が不在となる。
・補助金は税金で弱いものを恩恵的に助けていると見るならば間違いである。補助金は、これからのまちづくりに欠かせない「市民協働」の重要なツールである。補助金をうまく使うことによってまちづくりが健全に進む。
○平成26年度予算査定について
・26年度当初予算の査定に際し、本市の財政運営を担っている総務部(財政課)の予算要求方針
を遵守して要求したが、多くの事業が小事業単位で保留となったうえ、市長査定において大きくカットされたものがあった。このことにより部局における真剣な議論が無駄なものに化す結果となった。特に協議を要する重要案件を除き、総務部(財政課)および各部局に任せていただきたい。
・時間がない中でトップが余りにも細かい指示を出されたため、それまでに部局で積み上げてきた多くの時間(努力と時間外手当)が無駄になり、議論は振り出しに戻り、余計に時間がなくなって大事なポイントの確認さえできずに予算が編成された。部局によっては要求もしていない予算を一方的につけていただく例もあった。次からは全員で改めていきたい。
・事業費の大きさは、まず第一に一般会計負担額、次に起債額、次に総事業費全体のボリュームで
判断するべきである。国庫負担まで算入された「見かけの事業費」の大きさだけで云々するのは
市として不適切である。市民の目が気になるなら、費用対効果をきちんと押さえ、市民に丁寧に説明をすべきである。
・斎場の施設改修は、事故が起きた場合の影響が大きいことに配慮すると共に長寿命化を目ざして
これまで限られた財源の中で必要最低限の整備を行ってきた。大津聖苑の制御盤および志賀聖苑
の火葬炉改修の当初予算がつかなかったが、これまでの計画が白紙に戻ると共に、心臓部である
制御盤の改修は絶対不可欠であり、ごみ焼却施設の二の舞にならないよう早急に対応する必要が
ある。
○平成27年度予算シーリングについて
・平成27年度当初予算額について25年度当初予算事業費ベースでシーリング設定するよう市長
から指示が出された。
・27年度当初予算は、市税収入の伸び等の歳入状況、義務的経費の増加、第3期実行計画の推進等の歳出状況を把握した上でプライマリーバランスとしてどのようなレベルが適切化を見極めて設定すべきものである。
・健全経営の結果、一定の事業費の伸びがあることは決して不適切なことではなく、市民サービスの提供として、市民への還元として必要であり、27年度当初予算の枠を最初から内外に示すことは適切ではない。
・シーリングの基準として平成25年度(2年前)の予算をベースとすることも不適切である
・シーリングはトップが独断で決定するものかと疑問に思う。色々な角度からの実態をふまえた検討や協議がないままに単にフィーリングで枠が決定され、部局に任せるので自由にやるようにと、もし言われたとしても、市民のためにいい仕事はできない。
○基盤整備への投資について
・大津が魅力ある都市となる政策の展開は政治家としての市長の手腕によるものである。
英語教育の充実も子育てやいじめ問題に関する様々な施策も市長の重要施策として推進されることに異存はない。
・一方で将来にわたる総合的な社会資本整備もまた重要である。道路や河川、公園などの整備は都市の魅力として、また市民生活の充実からも不可欠である。これまで本市は県内トップの位置を占めており下水道と公園は全国的にも高評価である。整備進捗を緩慢にし維持管理費予算を削ると「みすぼらしい町」になる。
・財政主導のこれまでのあり方を見直してでも、未来に向けた適正な投資には恐れず取り組むべきではないか。健全な自治体財政のために必ずしも起債残高ゼロを目指す必要はない。
・例えば、競輪場跡地は国体誘致の切り札として積極的展開が出来ないか。
大津駅も競輪場も本市の予算をかけないとの前提で、JRや県任せでは上質なものは出来ないし、主体性もなく、投資の決断と時期を誤ると街づくりの将来に禍根を残す。
・施設維持管理費と整備事業費への投資は、力を尽くすことで大津が輝く魅力の都市となる。本市
の未来は子育てからのアプローチも重要だが「器」としてのまちも大変重要である。
県都大津は様々な分野で都市間競争に勝ち続けトップランナーであるべきと考えている。このこ
とは職員のモチベーションの一つのより所でもある。
・市民要望は多様であり、特に本市におけるインフラ整備に対する要望は非常に根強くある。
国庫などの財源が確保できるものについては、実質公債費比率や将来負担比率を注視しながら、事業予算総額に縛られることなく必要性や事業実施を判断する必要がある。
・現状では、市長マニフェストの一部にしか光が当たっていないように見受ける。市民への約束事項はもっと広範であり、限られた財源であるがもう少しバランスよく進めるべきと考える。
・いじめ対策や子育て支援、観光振興、環境施策などについては予算面でも人的配置でも重点が置かれているが、これと比べインフラ整備を担っている部署への予算、人員配置は大いに見劣りがする。集中と選択の結果かもしれないが改めてバランスを確認することが重要である。
・国庫補助財源の活用が出来るものは、必要となる一般財源は事業費の概ね4.5%である。
特に道路は、社旗亜経済活動を支える最も基礎的かつ重要な社会基盤資本であり、また災害時の安全で安心な生活を確保するためにも必要である
○関係機関、団体等との関係について
・本市のまちづくりをそれぞれの立場から支えている警察・JA等の機関、自治連・防犯団体・文化スポーツ団体・日赤奉仕団等の団体との関係が以前に比べてたいへん疎遠になっている。市政のサポーターであるこれらの団体との関係改善を図るべきである
・関係改善には担当課による丁寧な対応と必要な予算の裏づけが必要であるが、トップが短時間でもよいので気軽に面会に応じることで雰囲気が大きく好転すると考える。お金も大事だが、気持ちの部分も重要である。
・当部では過去から将来にわたって安全で安定した廃棄物処理をすべての市民に約束する必要があり、そのための必要な仕組みは時間をかけて作られてきている。日常的に職員が地域の方々と課題の解決方法を見出すために協議を重ねており、こうした取組を通じ地域、特に代表の方々から信頼をいただいている。この信頼が、時に一部の感情的なご意見にも耐えて成果を出すためのエネルギーになっている。地域の信頼を損なうと仕事を進める術がなくなり、営々と積み上げてきた努力も無になる。
○トップの姿勢について
・大津市のこれまで歩んできた歴史と先人の努力を尊重する謙虚な姿勢が必要である。物事を短絡的にとらえないで多面的に分析することが大切。パフォーマンスが過ぎることが懸念される。
・本市は、県内市町の中ですべての分野でリーダー的存在であると認められてきたからこそ、市長会の中でも存在感を発揮し、一方で県市連携も円滑であった。今後もこうしたポジションを維持するためには、普段から本市の自覚的な行動が必要である。
・市民と市長、双方からの「信頼」をいただければ、大半の課題や苦労など楽しみながら仕事をこ
なすタフな職員がそろっている。
・重要な会議等への積極的な出席をお願いしたい。他都市との連携協力により取り組む広域的な事業は、道づくりから医療福祉まで大変に多い。要望活動なども共同で行ってこそ効果が上がる。
県内他市は、本市の牽引力に期待をしており、常に大津市長の出席、欠席が注目されている。
出席している他の首長から、なかば諦めの声、批判の声が出ており、市長を支える本市執行部に対しても市政が問われている
・市長の施策方針等に対する職員の声に耳を傾けていただきたい。意見や苦言を呈する職員を大切にしていただきたい。イエスマンは何も考えていないことに繋がる。また楽である。逆に言えば市長はそれだけ大きな権限を付与されているという事実に対し、市長自身が自らの権限を恐れる位の謙虚な気持ちで望んでいただきたい。
職員が一生懸命職務に取り組む故の苦言であると認識していただきたい。
・頑として自分の意見を曲げようとされない市長の姿勢はさまざまな弊害をもたらしている。
しばしば行われる「市長協議」は、結果的に市長意見の押し付けになっている場合が多い。
それは時間とエネルギーの浪費であり、職員に疲労感と徒労感を与えるばかりである。市民サービスに費やされるべき多くの努力が内向きの作業に取って代わられたら市民にとっては損失である。
・協議は議会向けへのアリバイつくりでは決してない。第一線で市民や団体とやり取りをしている職員の声に耳を傾けられ、十分に咀嚼した上で結論を導くべきである。そうでなく、全ては選挙で選ばれた市長が決定し、補助職員たる副市長以下は黙って従えばよいとのお考えであるなら、内外に対してそのことをはっきりと言明されるほうがよいと考える。それならそれで職員にとっても割り切りの仕方があるし、時間外勤務の縮減にも繋がると思う。
・職員数の削減や給料、手当の削減を重視しておられるが、十分に科学的な分析をなされた上でのことか、あるいは一つのトレンドとしてお考えなのであろうか。雇用者として職員の健康や生活のことを大切に考えられることはないのか。企業であれば業績不振にも繋がりかねないことだと考える。
・人事配置(人材登用)についても、職員を「消耗品」ではなく生身の人間として見ていただいているだろうか。現実問題として多くの職員の士気は低下しており、仮に一部の幹部が頑張ったとしても気力の薄れた組織には創造性も突破力も期待できない。傷ついた組織はトップが変わられたあともすぐには元に戻らない。丁寧に職員を扱っていただきたいと心から願う。
・時には職員を守るというメッセージを出していただきたい。職員は行革の対象ではなく、市長の補助機関であり市の財産である。市民目線ということは職員を敵として見ることではないはずだが、市長自身が職員を味方であると認識されていないのではないか。なんだか市長が悪い身内のことを外部に恥じているようにしか思えないことがある。不祥事が続いたし、このことは市民にたいへん申し訳なく、職員全体で乗り越えていくべきことだが、そのためにもトップの揺るぎない信念がほしい。
・副市長もふくめた職員に対する信頼感がまったく感じられない。何もかも市長が査定し判断され
ることは時間のロスであり無理があると感じる。一定の信頼感のもとで職員にもやる気を起させ
る配慮が必要であると感じる。現場や市民対応など職員が身をもって対応しているため職員の声
もしっかり聞いていただきたい。拙速に判断や結果を求めておられると感じる
・トップとしてなすべきことは他にあるのではないか。例えば市を代表して出席すべき市長会や自
治創造会議への出席、自治連合会、女性会、社会福祉協議会、防犯協会、交通安全協会、警察署さらには関係企業に対する丁寧な対応などを行っていただきたい。市長のご多忙は分かるが、出席のための時間を生み出す努力をされるべきと思う。副市長や部長では市長の替わりにならないことが多い。市長が出てこそ意味があることを理解していただきたい。
・消防協力団体である消防団、防火保安協会、女性防火クラブ連合会等に対しても、もう少し行事等に直接出席いただき、日ごろのお礼や意見交換を行っていただきたい。
・何はともあれ、会議や団体などとの約束の時間は絶対に守るべきである。多忙であっても少なくとも5分前には入室すべきと考える。重要な会議や式典に遅刻したり、間際にばたばた入場するようでは市の代表として残念である。
また、市長があまりにも多忙なのは適切な状態ではない。もう少し時間を確保することが重要であり、そのためには協議のあり方や意思決定の仕方などを見直していく必要があるのではないか。
現状では、ここぞという必要な時にじっくりした判断をすることが難しい状況である。さらに、市長が過労になられないような配慮が必要である。
・職員と対話するランチミーティングも過去にはなかった試みで良い事だと思うが、時々、社長が
社内を回るように庁舎内を歩いて見られてはいかがか。職員がどんな環境でどんな表情で働いて
いるかご覧いただくことは意味があるし、職員の励みにもなる。地下駐車場と執務室と会議室の往復だけでは勿体ないという気がする。
・職員は市民のために働いているが、そのためにまず市長のために働いている。
だから、本来、市長に尽くしたい、この人のためにいい仕事をしたいと思っている。この人が好きだ、この人に言われたら何でもやるという程の気持ちになれたら、職員は大きな喜びをもって働けるし、よりよい仕事ができる。市長が職員をうまく使って市民のためにいい仕事をされることを望む。他の部局長も自分の切実な問題として望んでいると思う。
※以下に提言2(部局長意見集)が続きますが、市の事業や課題に関する内部見解
などが含まれているため掲載しません。ここでは部局長意見を踏まえた私(茂呂)
の意見具申(提言1)のみ掲載しました。
越市長への意見具申を読んで驚愕しました。
返信削除さすが市政全般にわたる幅広い格調ある前副市長の市長に対する具申とはじめは感心しましたが、質的には部長、課長あるいは係長にも共通する組織の長が備えるべき心得(実行はなかなか難しくはありますが。)とさほど異ならないように思えました。さらに言えば、社会人としてのあるべき常識を説いているようにさえ見えます。
聞きしに勝る内容であり、40歳にもなる中核市の市長にこのような意見具申がなされたこと、あるいはなされなければならなかったことに驚きを禁じえません。
――――― ギャベジン