大津市政 17 ~職員の受け止め方~ 物申す職員

 自治法上、職員は長の補助機関と定められ、市役所という組織の中で市長の指示のもと市長を補助するために働いており、そのことによって市民福祉の向上を図ることが本務です。
 ですから必要であれば市長に意見を述べなければなりませんし、現に職員はそのように努めています。
 職員が越市長に対し、協議やヒアリングなど様々な機会において自ら正しいと信じる意見を述べることや、客観的データを示して再考を求めることは日常的にありますし、面と向かって苦言を呈する職員も当然ながらいるのです。これは各種の協議録からも明らかです。

 しかし、市長の権限は大変大きいものですし、さらに既に述べたような資質、姿勢などの問題があって、そうした職員の発言がまともな議論に発展し実を結ぶことは残念ながら多くないのです。
 そればかりか、越市長の考えに疑問を呈し方針に待ったをかけると、協議の延長や持ち越し、度重なる資料提出指示、それらに伴う部内協議の反復などに結びつきかねません。
 予算や人事の例に見るように組織の意思決定が遅れることもあり、それによる事務の増大が多くの部局に及ぶという「多忙化基調」の中にあって、職員の徒労感が増幅するだけという結果は回避したいところです。

 最近では、越市長に何を申し上げても無駄であるとの諦めムードが支配的となり、表立った「抵抗」が減りつつあると聞きますが、もし本当にそうなら組織の劣化をもたらします(そうでないことを信じたいと思います)。
 さて、ここでは、職員が越市長を諌める構図を説明しましたが、多数ある市の事業のうちには越市長と部局、現場の職員の意見の一致する場合も当然ながらあるわけで、そこで議論の遅滞が生じるものではありません。時には、にこやかに終了する協議もあるでしょう。
 そもそも職員は大きな権限をもつ市長に逆らうことなく円滑に協議を終え、さっさと仕事を進めたいと願っているものです。市長に物申すのはよくよくの場合であり、その時に協議の真価とリーダーの器が問われることを越市長は認識される必要があると考えるものです。

 さて、職員が市長をどのように見ているかについては「部局長意見集」にもよく表れています。
 この意見集は、平成26年度当初にあたり各部局長が主要事業や市政運営に関して真摯かつ率直に意見を述べたもので、取り纏めを行ったのは当時、副市長であった私です。
 私はこれを自分の最後の重要な仕事であると考え、意見集を越市長にお渡しして今後の庁内協議の素材として頂くようお願いしました。
 その後、(平成26年5月31日朝)、この意見集を各部局長にも共有してもらうため、それぞれに庁内メールで送信しました。
 6月2日(月曜)朝、登庁した部局長が各自の端末を開いて私のメールに気づき、中にはすぐに印刷した人もあったようですが、大半はざっと目を通して10時からの議会に出席しました。
 その後にどういうわけか庁内ネットワーク上からこのメールが一斉に消えてしまい、プリントアウトした部局長にはそれを封筒に入れて提出するよう指示が出されたといいます。
 この出来事(公文書の電磁記録の消滅現象)は私の退任後のことであり、複数の人からの伝聞情報です。メールを読んだかという私の質問に対し正直に答えざるを得なかった彼らの、いかにも気の毒そうな表情が記憶に残っています。
 ちなみにブログ開始当初、閲覧が出来ないとのコメントが寄せられました。ことの真偽はいまだに不明ですが、当時私は、不思議な偶然が重なるものだと思いました。

 消えてしまったものは仕方ないと諦め、私は、昨年6月18日、越市長あてに文書による意見具申を行いました。この具申書は、「提言1」と「提言2」からなっています。「提言2」は私が取りまとめたけれども消えてしまった「部局長意見集」を再録したもの、「提言1」は、広い分野にわたる「部局長意見集」のうち市政運営の在り方に関する意見だけをピックアップし、それに深く同感することから「私自身の意見」と位置づけなおして記述したものです。
 このブログでは、「提言1」を関係資料として掲載しますが、これにより、平成26年当時の部局長が越市長をどのように見て、どのようにお支えしようとしたかが伺えると思います。

  関係資料5(大津市政に関する意見具申)




3 件のコメント :

  1. 提言1も2もですが、電磁的記録であっても、これは公文書としては扱われないのでしょうか?
    公開請求出来ないのでしょうか?

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  2. ここに書かれていることが本当であるなら(もちろん茂呂氏が虚偽の内容を書く理由がないが)、明らかに規程違反のことが大津市役所で行われたことになります。茂呂氏の退任は5月31日付けですから、休日とはいえメールを送信した時点では公人であり、公務で作成されたメールになります。送信されたメールも、それをプリントアウトしたものも公文書として取り扱います。それをネットワーク上から削除したうえ、プリントアウトしたものも封筒に入れて提出させて残していないのは大津市文書取扱規定(訓令第15号)に違反する行為です。
    幹部職員からの市政に対する異見具申をもみ消したわけですから、重大な隠ぺいです。公文書公開請求すれば出てくるのでしょうか?それとも、そのような公文書は存在しないと回答されるのでしょうか?

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  3. 市役所のデータが、それだけ偶然に無くなるなんて考えられません。
    故意でしょう。紙まで提出させられたのであれば、なおのことです。
    規定違反どころではないというのが、どういう事かわかりませんが、法令違反ということなら問題ですね。

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