自由民主党はその素晴らしい党名にふさわしくない政党であると私は常々思っています(ほかの政党より名と実の乖離度が大きい)。この党の金権体質および強者優先の政治姿勢は、長く政権与党であることで強化されてきました。見方を変えれば最も力量のある政党でしょう。その党内で「解党的出直し」をめざす論争が盛んですが、党も議員もずいぶん小粒になり内向きになりました。東では「はやくしろよ」、西では「はよせんかい」とみんな怒っています。
これを待つ間(?)にワタクシゴトを連ねます。私は桐生をさまよう体力があるのに不整脈をかかえています。これは明らかに労災ですが今は詮ないこと。何年も不整脈につきあって来ましたが、このたび根本治療を受けると決め、東京は井の頭沿線にある専門病院に出向きました。朝一から各種の検査を受け、今後の方針を相談し、納得して病院を出たら午後2時でした。そこで駅への道すがら小さなうなぎ屋に入ったのです。
小さな引き戸を開けると狭い客席に店主が一人すわって新聞を見ながら遅い昼ご飯を食べていましたが、どうぞと立ち上がり、読みかけの新聞を寄こします。鰻丼か鰻重だけ、どちらも3800円ですと言われ、私は鰻丼を頼んで新聞に目をやりました。大谷選手の写真がでかでか載っていたので、大谷はやりますねというと、そうだよ凄いもんだよ体もひけとらないしさ、と応じる店主は70代後半と思われます。
私がいま行ってきた病院の評判をきくと(ぬかりはありません)、はやってるねえ、外国からも患者が来てるよ、中国人とかヨーロッパとか、との説明でした。ふむふむ。出されたまずいお茶を飲んでいると、ご近所らしき女性がやってきて持ち帰りのかば焼きはまだかと腰をおろしました。店主は、はい仕込んでるよと答えて狭いカウンターでごそごそやっています。私はスマートフォンを取り出し、次の目的地である横浜への行き方を調べかけました。
そこへ店主から声が飛びました。「この店はスマホ禁止です」。私は迷惑電話を注意された気になってあわててしまったのですが、まてよ、黙って見るには誰の迷惑にもなりはしないと思い直し、「ちょっと調べものですが」と説明しました。すると「それもだめです、店の写真をとる以外のスマホ使用はお断りしています」との返事。「このごろの人は座るやいなやスマホをいじくってる、うなぎ食べに来たんでしょう、その間ぐらいやめらんないかなあ」。
私は言いました。その点は同感だけど、人にはそれぞれ都合がある。あなたの考えで人の都合を左右するのはおかしいでしょう。大切な用事だったらどうするんですか?店主いわく、それだったら店の外に出てやってください。ここで私は腹が立ちました。「この暑い中わざわざ往来に出てスマホをやれというんですか。食事中ならマナー違反かも知れないが、鰻丼が来る前に見てるだけでしょう」。これに対し、「これは私の店です、うちはこれで50年やってんだから」
私は立ち上がってカウンター越しに言いました。「私もこの年だから大声は出しません、しかしあなたは間違ってるよ、なんの権限で人の都合を差配するのか、店の方針なら貼り紙しとけばいいでしょう、だいたい50年前にスマホがあったか?あなたはいい気になってる、少し考えたらどうです」。先方は、「ここはうちの店なんだから」と譲りません。「もういい、こんな店では食べられない、もう帰ります」と私。
「ええ?もう用意はじめっちゃったけど」、「もちろん払うよ」(と財布をだす)、「いや食べてないのにもらえない、うちはそんな商売やってません」、「どっちなんですか、請求するのかしないのか」、「一円も結構です」、「ああそう(と財布をしまう)、、、ではこれで帰る、お邪魔さま」、「はい、ありがとうございました」
店を出た私は駅の手前のラーメン店に入りました。中華そば1000円。最初からここにしておけばよかったけれど後の祭りです。うなぎ店主は世直しがしたいのでしょう。気持ちは分からないでもないけれど、それは仲間うちのルールにすべきです。私は争いを好まないけれど、ごくたまに正面衝突を起こします。まあこの件は貰い事故ですけれど。
ところで病院では医師から禁酒を強く勧められました。先生のご本にはタバコは厳禁とあったけれどお酒への言及はなかったですよ、冷蔵庫にビールを冷やしてきました、と私は抵抗を試みましたが、そのあとにアルコールの有害性の知見がふえたんです、心臓にはだめ、毒を飲んでるのと一緒です、今後の処置がおわって安定したら控え目に飲んだらいいんです、1年は禁酒、その後は節酒です!
この日の夜、私は若い衆の家に行きましたが、そこで彼らの健康管理に意見をのべる場面が生じました。その時の勢いで「君らは育児、仕事にかまけて健康をおろそかにしてはならない、ぼくも酒をやめる」と啖呵を切りました。翌日、草津に戻ってきて今日で断酒8日目、これはこの半世紀で初めてのことですからブログに書かないわけにいきません。
友人T君にこの次第をメールし、秋にお越しの際、私に構わずどうぞビールを飲んでねと早々と予告しました(2カ月先の話です)。T君の返事にいわく、1年は飲まないというところが正直というか、いじましいというか突っ込みどころだな、患者さんにはお酒を飲まない人もあって自分も反省することがある、11月には静岡のお茶をもっていくよ。
すっぱりとお酒をやめた私に対し、T君が尊敬の気持ちを抱いた可能性が若干あると私は考えています。しかし1年の「暫定ゴール」はずっと先です。
【棚から言の葉】
~ それでも地球は回っている ~
決心から8日がたった私の心境です。そういえばかつて同じ言葉を発した人がありました。ガリレオは異端審問をうけたましたが、功罪ともに大きいキリスト教ではあります。
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