2019/12/14

105)裁判報告④~元人事課長証言「文書の不存在」~


<事実経過>
 平成25322日に大津市役所内で不当要求事件が発生し、対応にあたった人事課(当時は職員課)は詳細な記録を作成しました。しかし市は、この記録の公開請求に対し、存否すら明らかにせず非公開決定を行いました。後日、この処分の取り消しを求める訴訟が大津地裁に提起され、市が敗訴しました。ところが越市長は「非公開」に固執し、控訴、上告を行って敗訴の数を増やしました。そのうえ最高裁の判断に逆らって、なお不存在を理由として非公開を続けたことから、原告は、情報公開・個人情報保護審査会に対し審査請求を行いました。

 これを受けた審査会の事情聴取に対し、元人事課長は「不当要求の録音もしていないしテープ起こしもしていない。報告書も作成していない」と証言しました(令和元年6月28日・審査会答申第59号)。その後、この不当要求の記録がこの裁判で証拠提出されたことを審査会が知って改めて問い直したところ、元人事課長は「録音した事実」、「テープ起こしをした事実」、「報告書を作成した事実」を認めたうえ、「それらを廃棄した」と説明を変えました。

<尋問概要>

「質問」
平成25年3月22日の不当要求を録音し、記録を作成したのはあなたですね?

「元人事課長」
・録音したかどうか覚えていません。
・テープ起こしを作成したかどうか覚えていません。
・テープ起こしは、部下か臨時職員に作成させたかも知れません。

「質問」
そんな重要なテープ起こしをアルバイトにさせたということですか?

「元人事課長」
・臨時職員といっても人事課の職員ではありますので。

「質問」
部長決裁となっている不当要求の記録に、あなたの氏名の担当者印があります。これはあ
なたハンコですね?

「元人事課長」
・どこにでも売っているハンコです。
・これは私かなあと思う感じです。

「質問」
テープ起こしの記録に決裁印はありませんが、職員課を「当方」とし、参事、副参事とあ
って、あなたの氏名だけ呼び捨てになっています 作成したのはあなたですね?

「元人事課長」
・作成した可能性はあるかなという程度です。
・原本がもうないので確認できません。

「質問」
録音したかどうかもわからないのですか?

「元人事課長」
・あの時、私は呼ばれて後から行ったのでよく覚えていません。

「質問」
通常は出席者のうち、下位の者が録音反訳を作成するのではないのですか?

「元人事課長」
・そんなことはありません。
・出席者と違う職員が作成したかもしれません。

「質問」
出席もしていない者が、録音反訳を作成することがあるのですか?

「元人事課長」
・あり得ます。

「質問」
文書取扱規程の文書保存期間標準表ではどれにあたるのですか?

「元人事課長」
・1年なので日報のようなものです。

「質問」
日報というと運転日誌みたいなものですが、個人情報満載の文書で部長決裁なのに1年
存ということがあるのですか?

「元人事課長」
・部長決裁でも保存年限がきたら廃棄します。
 
「質問」
文書取扱規程では、文書はファイルに綴じることになっていますが、何のファイルに綴
ましたか?

「元人事課長」
・覚えていません。

「質問」
通常であれば、何のファイルに綴じますか?

「元人事課長」
・ファイルといってもたくさんあるので、どれと言われても分かりません。

「質問」
セクハラ相談記録とかそういうのですか?

「元人事課長」
・そういうのかもしれません。

「質問」
文書をわざわざファイルから抜き取って廃棄することはないですね。当然、規程違反に
りますから。

「元人事課長」
・はい。

「質問」
最高裁決定後も公文書として存在していましたか?

「元人事課長」
・出せるものがあれば出していました。

「質問」
大津市長から非公開とするよう指示があったのではないですか?

「元人事課長」
・市長からの指示はありません。
・適切に対応するようにということでした。

「質問」
大津市長は定例記者会見や市議会の通常会議で「廃棄は適切である」と発言しました。一方で「文書管理や廃棄については存じません」と言っています。なぜ存じないのに適切だと言えるのですか?

「元人事課長」
・わかりません。

「質問」
大津市長に直接聞かないとわからないということですね?

「元人事課長」
・・・・(沈黙)

<所感>
 不当要求に対応する際、やりとりを録音することは常識です。私自身、何度も録音しま
したが、たいてい緊迫した状況であるうえ、後に待っているテープ起こしは、時間をか
不愉快なやり取りを再度体験する嫌な作業。たとえ人に任せた場合でもその人のストレス
が気になる程であり、こうした経験を忘れることはありません。このことに関する元
課長の記憶がきわめて曖昧であることが私には理解できません。そして、この時の記録は
15ページにわたり、分量としても忘れにくいボリュームです。

そもそも市は、プライバシー保護を理由にこの資料を機密扱いしてきました。テープ起
しを臨時職員に依頼したとの証言も腑に落ちません。市役所の仕事が多数の非正規職員
えられていることは、その方々に深く感謝しつつ認めるべき事実ですが、関与する者を最
小限に抑える観点から明らかに不自然です。

また、不当要求対応の会議室に呼ばれて遅れて入室した、という証言については、「最
から対応に加わっていた」と私は聞いています。元人事課長の証言は、当時私がこの目
見、耳で聞いた完全に事実に反しています。
退任5年で私がよほどボケたのか、元人事課長が虚偽を申し立てているのか、真相はいっ
いどちらでしょうか。









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