2021/09/06

153)池のかわず

 1年前にトノサマを襲名した一匹のカエル、本名はスガエル。目に光なく皮膚に張りなし、もっと鳴けと突っつかれてもカエルの面に水とばかりに知らぬ顔。池をゆるがす流行りやまいに際しては、それを収めるどころか「遊泳促進」「池間交流」と逆さまの号令を連発して病蛙が激増、治療院はふらふら。

 さすがに疑問の声がふくらんでその座を追われそうになったとたん、表情とぼしい仮面をかなぐり捨てて一つ大きくカエル跳び。裏ボスの首をちょん切り、子分をおどしつけ、池役員の総替えを宣言するなどミチガエルばかりの果敢なふるまい。けれども近く行われる水抜きに備えて隠れ場さがしに余念のない仲間の総スカンをくって、ついに自分から錦の座布団を下りることとなりましたとさ。

 今回もまたコロナと向き合い緊張つづきの現場の皆さまから遠く離れた笑い話で相済みません。しかし私はあまりに内向きで利己的な自民党(「責任政党」の自称の前に「無」の一文字をつけたい)の現状に怒りを通り越してしまいました。

 いま行うべきは、遅まきながらコロナ禍における私権の制限と社会の安全に関する真摯な議論と具体策の検討であり、そのため国会での議論が欠かせません。野党議員が議員総数の4分の1以上の名を連ねて臨時国会開会要求書を出したのが昨年7月のこと、時の安倍首相は憲法53条に反してこれを無視しましたが、菅首相も違憲路線を踏襲して今も国会を開こうとしていません(政権投げ出しも踏襲しました)。

 森友、加計、桜を見る会、公文書廃棄など由々しき問題も手つかずで残されたままです。さらには学術会議の任命拒否の理由や河合杏里氏への法外な支援金の出どころ等々。野党の力不足を指摘する声もありますが、まずはカネまみれ、利権まみれの自民党が自らのウミを出し切る努力をすべきだと思います。

 それにしても権力は、それを持つ者にとってこれほど蠱惑的なものはなさそうです。官房機密費しかり、政党交付金しかり、サラリーマンが一生かけて稼ぐほどの金(税金)を週単位、月単位でじゃんじゃん使って領収証1枚、メモの1行もいらないなんて私利私欲のある人間は三日やったら辞められないはず、官僚の忖度や業界の低頭もさぞ快いことでしょう。この醍醐味が自民党はじめ政治家の権力闘争の大きなエネルギー源となっているに違いありません。

 マイクを向けられ「菅さんは携帯料金を下げてくれたからよかった」と答える若い人をテレビで見ました。いやはや! 若い世代は変化をきらい現状維持をのぞむゆえに自民党に投票するのだと聞いたことがあります。この見方の是非は別として今の政治状況においては「現状維持」は無理です。「さらなる悪化」しかありえません。

 コロナは抑えられるか、公と私の折り合いをどうつけるか、明日の暮らしは大丈夫か、当選後も市民の声に耳を傾けるか。来るべき選挙ではこうした観点から政治家の言葉を吟味しようではありませんか。そして棄権はしないこと。若い人々に向かって以上のように申し上げたいと思います。

     熊蜂(くまばち):名前と姿は強そうですが蜜が好きな温和なハチです。



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