2022/08/28

186)原発事故 5(追記)

 話題を変えようとしたら政府が「原発推進」のノロシを上げました。岸田文雄首相は「大津通信」を読んでいないのか! と書くと「コイツは大丈夫か?」と心配くださる向きもありましょうが、いえ大丈夫ではありません、私はキレています。「ごまめ」どころか「めだか」の歯ぎしりにも及びませんが追記しないではいられません。

 カーボンニュートラルの実現に向けたグリーントランスフォーメーション実行推進会議(なんと恥ずかしい名前!)において、首相が「事故停止中の刈羽、高浜など7基の原発(安全対策や地元同意も未完了)の再稼働の推進」、「すでに40年から60年に延長ずみの法定運転期間の再延長」、「次世代革新炉の開発・研究の推進」を表明しました。おい、岸田さん、気は確かか?

 政府が理由にあげるのは、① 二酸化炭素の排出抑制の必要性、② ロシアのウクライナ侵攻による原油、天然ガスの高騰、③ かかる情勢下での電力の安定供給確保です。
 このうち、① がウソとゴマカシの塊であることは既に書いたとおり、② は、少なくとも新型炉推進の理由になり得ません。なぜなら「革新炉」の実用化、安全対策の確立、環境影響評価、プラント建設、なあなあ審査、試運転、営業運転までどんなに急いでも10年以上はかかるでしょう。③ は、「原発こそ基幹的・安定的電力源」であるという政府の決まり文句ですが、一方で火力・水力発電を止めたり太陽光電力を捨てたりしています。

 岸田首相はじめ政権を担う人々は「脅せば従う」と国民をなめてはいけない。いたずらに危機感をあおり、「積極的平和主義」を標榜し、米国の意のままに「核ある世界」を承認し、さらに「原発推進をたくらむ」など火事場泥棒の真似はやめろ。もう福島の事故を忘れたか。「ご父母様」に叱ってもらうぞ。

 防衛費の「GNP2%枠」など、何かというと欧米を引き合いに出す日本の政府、政治家たちですが、欧米がすでに原発から撤退していることは「選択的に除外」しています。米国で原発の数が最大であったのは1974年(およそ半世紀前)のこと、それ以降は計画中の原発のほとんどすべてが中止、完成間近の原発も中止されました。天然ガス(シェールガス)の開発が進んだという事情もありましたが、スリーマイル島原発事故(1979年)の教訓を米国政府と国民が忘れなかったことが最大の理由でしょう。

 ドイツのメルケル前首相は原発推進派でしたが(科学者でもあったことが裏目に出た?)、福島原発事故を「他山の石」として技術者と知識人からなる「倫理委員会」を立ち上げ、事故のリスクと未来への責任を重視して原発撤退を決断しました。イタリアでは2011年6月に福島事故を受けた国民投票が行われ原発再開計画を断念。スイスでも国民投票が行われ、原発新設を禁止し再生可能エネルギーを推進する新法が成立しました。韓国、台湾でも原発見直しが進んでいます。こうした動きは小出裕章さんの著書から引用しましたが、「自山の石」の日本は、いったいどうしたのか。

 「電力の安定供給」と「環境の損傷軽減」の両立を図る工夫は幾つもあります。たとえば「自然エネルギーの本格導入」、「余剰電力による揚水発電の活用促進や水の電気分解による水素燃料の大量生産」、「送電線・連携線の増強による電力ネットワークの強化」、「蓄電池の低価格化のための研究開発」等々。しかし、これらは「各論」に過ぎず、「総論」は「大量生産、大量廃棄によるエネルギー浪費システム」の見直しに他なりません。

 そしてその大本には、いまの世の中をこれ以上悪化させることなく持ちこたえ、できれば改善し、未来への禍根を減らしつつ「よりマシな形で」次代へ引き継ごうとする理念が据えられるべきだと思います。まさに「公」の理念です。この理念に照らして「原発は悪」です。
「売国奴」とは、右翼の連中が好んで使う下品な言葉であり、同時に国家と個人の相克を照らし出す言葉でもあると思っていましたが、原発推進の旗を振る政治家にはこの言葉がピッタリです。彼らに理知と廉恥を求めます。




 

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