こうした論点を順序よく並べひとつの読み物にしたいのですが、思うばかりで着手できず、なにせ「がっぷり四つ」に組むには大きすぎる相手です(誰かそんな面白い本を書いてくれないものか)。そこで私としては、少なくとも今のところは体験的、周辺的、断片的な「私的公論」を綴っているわけですが、上空たかく漂う「公」の風船のヒモだけは離さずにおこうと思っています。
さて、これからシリーズで「ケア(care)」について書くつもりです。「公」は、その実現が決して容易ではない「個と集団との互恵的なより良い関係」を目ざすものであり、「ケア」はその場における重要なキーコンセプトであると考えます。今このことを強く感じるのは、私が母を介護する者として、被介護者たる母と共に「地域包括ケア」(これも「公」の一つの現れ)のサービスを受ける身であり、同時に、離れた地では、息子夫婦が生後まもない娘の養育に大きな喜びをもって取り組んでいるという事情があります。人生の初めと終わりは、時には途中でも、ケアを抜きにして語れないということをあらためて認識しました。今回は前触れだけで失礼します。
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