昨日(8月31日)、閣僚会議の後にプレス取材をうけた野村農水相が「汚染水」について意見交換をしたと答えて岸田首相の怒りを買い、謝罪する羽目になりました。あらためて日頃の野村氏の言動をみると汚染水発言が信念に基づくものではなく、「素朴な言い間違い」であったと分かります。閣僚としてはお粗末ですが、いつぞやの「麻生太郎ナチス礼賛発言」に比べると可愛いものです。岸田氏は怒りやすいところにだけ怒ってはいけません。
いま、政府は中国と早急に対話する必要がありますが、「処理水」について話がしたいと申し入れても、中国は、それはひょっとして「汚染水」のことか?これを貴国が「処理水」だと主張するなら当方は交渉のテーブルにつけない、と言うでしょう。そこで政府に提案ですが「希釈水」と表現するのはどうでしょう。「処理水」や「汚染水」には認識の差異が反映されますが「希釈水」にはその余地がありません。「400倍希釈水」とすればなお正確です。
一方、国内向けにはストレートに「安心安全水」と言ってはどうでしょうか。岸田氏にはヒラメの刺身を食べるばかりでなく、率先して安心安全水を飲むことを提案します。塩分補給にもなり熱中症予防にも効果があります。生産者を示すなら「東電水」が分かりやすいし、「アルプスのしずく」もよいかも知れません。
今日(9月1日)は関東大震災から100年です。大きな自然災害はそれに対処する過程で人災をもたらし得ますが、その最悪の事例が100年前の「朝鮮人虐殺」であると思います(12年前の「原発爆発」も人為でしたが)。松野官房長官は「そんな記録がない」、小池都知事は「学者の専管事項だ」という趣旨の発言をしました。歴史に学ぼうとしない政治家はまことに有害です。
この事件では千田是也(劇作家・俳優)に忘れがたいエピソードがあります。血気盛んな若者であった彼は、ウワサを真に受けて朝鮮人を成敗するため震災の翌日に町に出かけました。ところが逆に自分が朝鮮人であると間違われ、アイウエオと言ってみろ、歴代の天皇の名を上げろ等と尋問されます。必死で答えるものの激高する人々は納得せず、リンチの手前までいったところで知人に救われました。
彼は伊藤国夫という本名に替え、その出来事が起こった「千駄ヶ谷」という地名と「コリアン(Korean)」という民族名をつなげてセンダコレヤを名乗ることとしました。千田是也はブレヒトの戯曲を紹介、上演したことでも有名ですが、ブレヒトの「三文オペラ」にちなんだ小説を書いた作家に開高健がいます。次回の「3つの話」の一つに開高健が関わるのですが、またもや汚染水の続きを書いてしまいました。
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