2024/11/18

番外)スマホ民主主義の時代

 きのう更新したばかりですが兵庫県知事選の結果をうけて少し書きます。斎藤元彦氏のパワハラ体質は同氏による「公益通報つぶし」や、県職員9700人を対象とした百条委員会の調査結果から明白であり、更に一連の同氏の発言を聞くにつけても知事にふさわしい人物ではないと私は思っていました。稲村氏を応援した22人の市長(県内29市のうち)も同じ考えだったようです。しかし兵庫の有権者の意見は違いました。

 斎藤氏を当選させたのは本人も認める通りSNSの民意でしょう。400人のSNSスタッフを駆使した斎藤陣営の作戦勝ちです。ネット上では「パワハラ疑惑はでっち上げだった」、「既得権益を守ろうとする議員や県幹部の陰謀があった」、「稲村氏は外国人参政権を認める立場だ」などの意見が飛び交いました。これに力を得たのか斎藤氏も「メディアの報道は正しかったのか?」と言い出しました。

 また対立候補であるはずの立花孝志氏が「斎藤さん、疑ってごめんなさい」と謝り、「私でなく斎藤さんに投票してください」と演説しました。これでは団体戦です。こうした動きがツボにはまったのでしょう、投票日直前の斎藤氏の誕生日(そんなもん知らんけど)には「生誕祭」と称して県外からも多数の聴衆が応援に集まりました。付近が通行止めになる人だかりでした。異例づくめの選挙戦ですが先ごろ石丸氏という前例がありました。

 SNSの言論は「どっちつかずの曖昧さ」に耐えられず、白か黒か、右か左か、愛国か売国かの二分法で議論が進みがちであるし、バランスが傾くと一気に雪崩をうちます。斎藤、石丸のように波に乗ればアイドル誕生となります。しかし現実の世界は割り切れないことで満ちていますから、ここに乖離が生じるのは当然です。だから私はSNSを全面的には信用できません。

 SNSを主たる情報源としている人(やはり若い世代が多いでしょう)から見ると「年寄りが何を言うてんねん」となるでしょう。でも乗り合わせる船は一つ。スマホをいかに使いこなすか、ワタクシの情報の受信と発信のセンスをいかに磨くか、候補者の主張をいかに解釈して投票するか、地方と国の議会と政府をいかに注視していくか等が私たちに問われています。一定の法整備(公職選挙法など)も必要でしょう。もはや「スマホ民主主義」の時代です。

 斎藤氏は波風が立たないよう今度はもっとうまくやるでしょう(資質は変わらないどころか昂進するでしょうが)。SNS推進課を新設したり、SNSによる人気投票で政策の順番を決めたりするかも知れません。兵庫県民にはまったく余計なお世話ですが、斎藤氏がパフォーマンスに走らず長い射程で判断されるよう、県職員の方々があわてて希望退職されないよう熟慮をお祈り申し上げるものです。
 
 

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