今さらですが、あのハグに驚きました。まるで恋人同士ではありませんか。見下ろす顔と見上げる顔がさらに接近したらどうしようと私はテレビの前でヤキモキしました。もちろん日米首脳会談の話です。二人は前回記事のとおり「悪人」ですから、年の離れた恋人とまでいかなくても互いに惹かれ合うのでしょう。
サナエがトランプに抱きついた意図は「親愛の情を示すため」か「国益のため」か? 前者なら国の代表者として明らかに節度を欠くふるまいだし、後者なら今や「ならず者国家」である米国に媚びるばかりの日本の姿勢を「戦時下」の世界に見せつけた点でアウトです。さらに高市氏は「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけよ」とダメを押しました。常軌を逸しています。O君なら「あほちゃうか」と言うでしょう。
みんなと同じことを私も言いますが、わが国は事あるごとに「国際法と国連憲章の遵守」および「力による現状変更の否定」の2原則を主張してきました。それは第二次大戦後の国際社会に広く共有された反省であり、同時に日本国憲法の思想でもありましょう。考えてみれば当たり前の意見ですが、米ソ対立による冷戦期を経て2原則は重みを増しました。
大戦後80年が経過して世界情勢が変わったにせよ、日本がこの立場からロシアのウクライナ侵略を強く非難したことは当然のことでした。そればかりか政府は、中国の台湾政策にまで2原則を持ち出して無用の反発を招いています。そこまで頼みとする2原則ですが、高市氏は今回のイラン侵略については「判断を控え」ています。あまりに露骨な米国追従です。
EU諸国は、明瞭に、あるいは慎重な言葉づかいで米国の蛮行を非難しています。それが国としての差し当たって妥当な態度表明であり、中長期の国益にも資すると考えてのことでしょう(そうしないとロシアを制する理屈がなくなる)。平素はEUの一員のような顔をしている日本政府が今回は「右へならえ」をしていませんが、日米同盟がそれを正当化するとは思えません。
もう一つ、政府がイランの核政策を非難することにより、米国の侵略に一定の妥当性があるかのようなメッセージを発していることも頷けません。米国の核保有はよくてイランはなぜダメなのですか? 修学旅行で広島や長崎を訪れた生徒がこう尋ねたら政府は何と説明するでしょう。核兵器を持っているのは米・英・仏・中・ロの常任理事国です。既得権益の保護を目的とする核不拡散条約など知ったことかと、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮が追随しました。
国連はなくてはならない円卓ですが、戦勝国による世界秩序の維持という設立目的を今も引きずり、正義より力の論理が優先しています(集団的自衛権に見るとおり)。トランプの登場がこれに拍車をかけました。国際緊張は高まるばかりです。イランは、もう少し早く核ミサイルが完成していたら今回の戦争を回避できたはずだと臍を噛んでいるでしょう。北朝鮮は「次はウチだ」と覚悟して核の増強に注力するでしょう。
政府は自衛力向上のためとして「敵基地攻撃能力」言い出しましたが、「敵」も同じ考えだとすれば狙われるのは日本国内の米軍基地です。イランに関しては佐世保・沖縄を母港とする軍艦が2500人の海兵隊員をのせてホルムズ海峡に向かったといいますから、相手側から見れば米軍基地(すなわち日本の国土の一部)は敵の基地です。そろそろ日本は、安保条約や地位協定をめぐる思考停止から抜け出すべきであると思います。
イランによるホルムズ海峡封鎖は各国にたちまち深刻なダメージを与えており、とても許されることではありませんが、これも米国(トランプ)が責任を負うべきです。この数年間で世界はどんどん危なくなってきました。
友人T君のメールに次のようにありました。~ 第二次大戦後も世界の各地で戦争は続いていたにしても、 世界が小さくなった結果として戦争を知らなかった子供たちも否応 なく戦争と人の醜さに肌で接するはめとなりました。(中略)歴史が大きく動く時代の現認者になっているとの思いで日々のニュ ースを見ています。~
日中関係も冷え込んだままです。高市発言が結果的にわが国にもたらした経済的損失は1兆円を大きく超えるとの試算もあります。近くの友人を持たない日本にとって、損なわれた国益は金銭ばかりではありません。高市氏とその支持者は頭を冷やしてこの問題を考えるべきだと思います。高市氏が早い時期に日中首脳会談を実現することを期待します。その時はもちろん習近平氏とハグすべきです。

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