関係資料 4 明日の大津を考える会・第4回市民シンポジウム資料

<八幡和郎氏講演資料>

大津市が市民満足度日本一の町になる条件を考える

1)大津市と滋賀県について少し考えさせられるイメージ

①滋賀県は思ったより良い県だが県民所得5位以上にしてはイマイチ
②大津の中心街は県庁所在地とは思えない寂しさ
③草津などは全国有数の住みよい町だが大津はそうでもないらしい
④観光地としても悪くないが国宝の数ほどの魅力なし(ミシュランからは無視)
⑤いじめ自殺事件で市民の意識は低く女性市長が一人で頑張っているイメージ定着

2)歴代市長を振り返る

18 上原茂次 19521014日・・・岩波書店・県議・大溝町長・高島市出身 
19 西田善一 1964106日・・・商店主・県議・地元 
20 山田耕三郎 1972106日・・島津製作所・下阪本村長・県議・地元 
21 山田豊三郎 1980615日・・・助役・守山市出身 
22 目片信 2004125日・・・建設業・県議・代議士・地元 
23 越直美 2012125日・・・弁護士・大阪府出身 

3)知事・市長は過去の仕事の経験を活かすべきだが陥りやすい罠がある

地元政界有力者の市長ばかりが続いたあとだけに越さんへの期待は大きかったと思う。ただ、いじめ自殺事件でクローズアップされて成功を収めたものの、それがゆえに疎かになったものが多いと心配。

官僚(総花的になりがち・情の部分に欠けて上から視線)・政治家(選挙に勝てること優先で公平性に欠けやすい)・実業家(民間企業と公共部門の違いに無頓着・外部への迷惑軽視)・弁護士(正義はどうでもよくて自分の依頼人の利益擁護優先・相手の弱みを狙って攻撃しがち)

アメリカ式の考え方は企業経営も短期的な利益を重視し長期的展望を軽視しがち。新自由主義の深刻な弊害。自分の成功が組織の成功につながらなくとも良い傾向。

4)民間委託・経費削減と必要な投資や支出のバランスは取れているか

民間委託はだいたい短期的には効果が上がるが長期的には落とし穴も・・・名君・上杉鷹山の自戒と仙台藩の悲惨な失敗。

市立図書館の民間委託への疑問・・・武雄市は成功したのか? 図書館を考える大津市民の会の反対。行政に専門家がいなくなるような民間委託は失敗することを歴史は教えている。

数字合わせ優先ではないか?経費節減策だけでなく経済振興や徴税対策など税収増加策も工夫した方が良いという「大津通信」(茂呂前副市長主宰)の指摘はこの点に関してはであるが常識的な分析のように思われる。

国民健康保険料の値上げをめぐる議論・・・市場機構を重視したアメリカの平均寿命はキューバより低い

災害対策と合併特例債の活用を考えれば庁舎建て替えは少なくとも俎上に載せるべきとき

教育問題で全市一斉に斬新な実験をするのは成功率が低くコストパフォーマンスも低い(特別に手厚い予算と人材を投入したモデル校方式が妥当なことが多い)

5)大きな組織の長であることの権利より義務に思いをはせるべき

日本の地方自治体は知事・市長の権限が強いが自制は当然。そうでないとすれば制度として異様なもの。幹部の意見は民間で言えば役員のそれであり尊重されるべき。首長はオーナー社長ではない(任期だけの委託であるからサラリーマン社長と同じで長期的影響が出る改革には合意を得る必要)

公務員組織は企業と同じように長期に渡って生き続けるものであり、その時々の知事や市長のためだけにベストを尽くせば良いものでない(プロ野球の監督でもそうだ)

リーダーは本当にやりたいことで細かい指示を出したければ他は人に任すべし。東条英機がなぜ戦争を早く止められなかったかといえば多くの仕事を抱え込んだため。

官僚組織は外部からの刺激を受けての柔軟性を求められるが、組織のトップは部下と組織を使いこなすのが仕事であることも確か。また、公務員も人間であるから、民間企業の社員と同じようにやる気を引き出さねばならない。

以上のような組織の長として当たり前のことをできているかどうか冷静な自省をすることは義務。

教育委員会なども含めてリーダーに人事権はあるがあとはまかせるシステムには合理性がある。

大阪市の橋下市長の改革は大阪の特殊事情下においてショック療法的な一定の効果があるもので大津市で同じことをしても同じ効果があるとは限らない。大阪の各種組織は全国屈指の質の高さがあるが時代への適合を誤って迷走した状態。大津は同じではない。

また、京都に通勤・通学で通うなど両市にまたがって生活している人が多い特殊性がある。京都との関連も意識して大津市としてのグランドデザインを持つことが不可欠。

市政は市役所だけのものでなく各種組織の有力者との関係も大事。ボスや既存組織だけ相手にしてはダメだが各分野で尊敬を集めている人にもそれなりの敬意が必要。

6)女性市長として成功すると言うことはどういうことか

女性であることに甘えるべきでも甘やかすべきものでもない。また、女性首長がガラスの天井を開けるのに貢献することもあるが、やっぱりダメかとなることもかなり多い。

嘉田由紀子前知事は少なくとも県庁職員にとってはやりにくい上司ではなかった(組織人としての経験。善し悪しは別として何がやりたいか明白)。

せっかく女性が首長になったのだから、たとえば、外で働く女性だけでなく、専業主婦にも高齢者の女性にも女の子たちにも広く期待に応えるべき。

待機児童ゼロは数字あわせでないか、保育園の経営を圧迫していないか、ほかにしわ寄せがいっていないかなどの批判にも謙虚であるべし。

7)首長は再選が当たり前で信任を受けたことにならないことを自覚すべし

日本の地方自治制度では次点候補が議会に議席を持たないことなどから現職は圧倒的に有利であり、知事では現職の勝率は九割を超し市長でも八割くらいか。

そのような条件下では再選されるのが当たり前で、たとえ再選されても信任されたとはいえない。再選されればいいのだろうという甘えがないことを願いたい。

市民にとって大事なことは現職も新人も同じ土俵において競いベターな選択をできる条件を作り出し市政に緊張感を創り出すこと。

現職には自省のヒントに、意欲のある方には導火線につける火に、市民の皆さんには四年にいちどのお祭りを楽しむ糧にしていただければ幸い。



1 件のコメント :

  1. 越直美市長再選阻止の集まりであったことが、この講演内容から窺い知れます。

    大津商工会議所を事務局とする会だとのことですが、だいたいどこの地方都市でも商工会議所といえば、実力者や成功者たちが集っています。ロータリークラブや町おこしNPOなどと顔ぶれが重なることも多く、選挙戦の行方に少なからず影響力をもつ人脈が広がっています。

    越直美さんだけではなくて、Uターン者なら誰でもそうなんですが、地元に対するブルドーザー的な人脈パワーを築けていません。昨年の知事選前、小鑓候補が慌てて高校の同窓会に出席しました。なんと、卒業してから初めての出席だったそうですが、Uターン者はそれくらい地元人脈が貧弱です。

    商工会議所のアンチ越直美路線は、越陣営には痛いことでしょう。
    ただ、八幡氏がいう「地元政界有力者の市長ばかり」に再び戻ってしまうと、やはり八幡氏がいう「京都に通勤・通学で通うなど両市にまたがって生活している人が多い特殊性がある。京都との関連も意識して大津市としてのグランドデザイン」の方向性が出てくるだろうかという心配もありますが・・・

    昨日、知り合い二人が、久保公人氏はどうだ、次の大津市長に適任ではないかと言っていました。
    久保氏は、ご承知のように、新国立競技場の責任をとる形で下村文科相から更迭された(と報じられている)人物です。東京五輪絡みで新設されるスポーツ庁の局長就任が確実視されていたそうです。私は知りませんでしたが、膳所高校から京都大学ということで滋賀県出身だそうです。
    そのように言っている二人が安保法制に賛成していましたので、そんな二人がいいという久保氏はよくないだろうと私は思いました。でも、町の有力者でもない男二人ですらも越市長への対抗馬を考えているのを知って、越政権は一期で終わりの予感がしました。

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